鬼越トマホークの良ちゃんこと坂井良多と、アンジャッシュ渡部建をめぐる騒動が、思わぬ方向へ広がっている。
発端は、渡部が出演するトークライブの告知を兼ねた、鬼越トマホークのYouTubeチャンネルへの出演打診だった。坂井は、渡部側から出演の申し出があったものの、会社や制作チームへの確認が必要だと伝えたところ、話が取り下げられたと説明。これを「後輩を値踏みした」と受け取り、X上で渡部を激しく批判した。
しかしその後、イベント制作会社が依頼方法の不手際を認めて謝罪。さらに渡部の所属事務所であるプロダクション人力舎が、「渡部本人が出演を希望した事実はない」とする声明を発表した。坂井の認識と、人力舎側の説明は大きく食い違っている。
そしてXでは、過去の不祥事を抱える渡部に批判が集中するかと思いきや、坂井の言葉遣いや事実確認の甘さを問題視し、渡部を擁護する声も意外なほど目立っている。
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坂井が渡部に激怒「後輩を値踏みするな」
坂井は7月7日から8日にかけて、渡部に関する長文をXへ投稿した。
坂井の説明によると、8月22日に開催される渡部のトークライブ「渡部59秒」の告知を兼ねて、鬼越トマホークのYouTubeチャンネルに出演したいという連絡が、元吉本興業の先輩芸人を通じて届いたという。坂井側は、会社やYouTube制作チームへの確認が必要だと返答。また、ライブの宣伝を主な目的とする場合には、通常のゲスト出演とは異なる扱いになる可能性も伝えたとしている。
ところがその後、出演を見送るとの連絡が届いた。坂井はこの流れを、渡部がチャンネルの宣伝効果を見定めたうえで出演を取りやめたものと受け取ったようだ。
Xでは渡部に対して「後輩を値踏みできる立場なのか」「反省ビジネスの守銭奴」などと強く批判。本人から直接連絡せず、別の芸人を通じて話を進めたことにも不満を示した。
制作会社が謝罪「すべて私の責任」
騒動を受け、トークライブを制作する株式会社OMIYAGEの宮地謙典代表が謝罪文を公表した。宮地代表は、番組出演の依頼について、自身の確認不足と依頼方法に重大な不手際があったと説明。本来であれば関係各所に確認し、適切な手順を踏んだうえで話を進めるべきだったとした。さらに、今回の件はすべて自身の責任であり、出演者には非がないとして、坂井、渡部、関係者へ謝罪した。
この説明を見る限り、渡部本人が鬼越トマホークへの出演を正式に希望し、その後に考えを変えて断ったという単純な構図ではない。制作側が渡部本人や所属事務所の意思を十分に確認しないまま、出演の可能性を探る形で話を持ち込んだ可能性がある。
人力舎「渡部本人が出演を希望した事実はない」
7月10日、プロダクション人力舎は公式声明を発表した。人力舎は、坂井の投稿について、渡部が自ら鬼越トマホークの動画チャンネルへの出演を希望し、その後一方的に断ったかのように書かれているが、そのような事実はないと否定した。
声明によれば、今回の出演打診は、渡部本人や所属事務所が関与しないところで、第三者によって行われたという。渡部本人が出演を希望した事実も、人力舎が出演を了承した事実もないとしている。
また、人力舎は、坂井の投稿には事実と異なる内容とともに、渡部の人格を傷つける表現が繰り返されていると指摘。「到底看過できるものではありません」と強い姿勢を示した。
出演の打診はあった だが誰の意思だったのか
今回の騒動で難しいのは、坂井がまったく存在しない話を作ったわけではない点だ。坂井のもとに、渡部のライブ告知を兼ねた出演相談が届いたこと自体は、制作会社の謝罪からも確認できる。
しかし問題は、その打診が本当に「渡部本人からの正式な依頼」だったのかということだ。坂井は、渡部側の意思による出演希望だと受け取った。制作会社は確認不足と依頼方法の不手際を認め、人力舎は渡部本人も事務所も関与していないと説明している。
つまり、坂井のもとへ届いた情報と、渡部本人が認識していた内容の間に、大きな隔たりがあった可能性が高い。坂井の立場からすれば、「渡部が出演したがっている」と説明された後、条件を確認した途端に撤回されれば、値踏みされたと感じるのも理解できる。だが、人力舎の説明が正しければ、坂井が批判した渡部本人は、そもそも出演交渉が進められていることすら知らなかったことになる。
Xでは坂井に厳しい声 意外な“渡部擁護”も
騒動後のXでは、坂井の怒りに理解を示す反応がある一方、その言葉遣いや批判の仕方を疑問視する声も上がった。
今回の出演話と渡部の過去の不祥事は別問題ではないか、本人の関与が確認されていない段階で「ゴミ」「守銭奴」とまで言うのは行き過ぎではないか――といった見方だ。一方で、坂井らしい率直な怒り方だとして支持する反応もあり、受け止めは分かれている。
それでも興味深いのは、渡部への強い批判が、以前のように無条件で受け入れられたわけではなかったことだ。
過去の渡部であれば、厳しい言葉を向けられても「自業自得」として片付けられていたかもしれない。だが今回は、人力舎が渡部本人の関与を否定したことで、坂井の怒りの向け方や、過去の不祥事まで持ち出したことへの疑問が強まった。
渡部を全面的に許したというよりも、今回の件は今回の事実関係だけで判断すべきだという空気が、以前より広がっているように見える。
「渡部なら何を言ってもいい」は終わったのか
その背景には、渡部が復帰後に地道に引き受けてきた“やられ役”もあるのではないか。
活動再開後の渡部は、かつてのグルメ通や人気司会者という立場へ、すぐに戻ろうとはしなかった。特にABEMAの『チャンスの時間』では、自身の不祥事を繰り返しいじられ、千鳥ら出演者から厳しい言葉を浴びせられる役回りを担ってきた。
謝罪会見をやり直す企画に加え、「まだ国民に許されていない」という設定で過酷な企画に挑み、改名を迫られるなど、徹底して笑われる側へ回る場面もあった。
もちろん、これらはバラエティー番組の演出であり、渡部にとっても仕事の一つである。それでも、かつての立場にしがみつかず、恥をかき、いじられ、低い位置から笑いを成立させる役割を何度も引き受けてきた。
その姿を見てきたお笑いファンの一部には、「渡部は少なくとも逃げずにやっている」「いつまでも過去だけで殴るのは違う」という感覚が育っていたのではないか。
過去に大きな問題を起こした事実が消えるわけではない。しかし、別の騒動でも本人の関与を確認せず、最初から悪い側だと決めつけてよいわけでもない。
今回、渡部を擁護する声が意外なほど見られたことは、「渡部なら何を言われても仕方がない」という空気が、以前ほど強くなくなっていることを示しているようにも見える。
渡部が完全に許されたという話ではない。ただ、『チャンスの時間』などでやられ役を地道にこなし続けてきた時間は、視聴者に思っていた以上に届いていたのかもしれない。
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